教授ごあいさつ

解剖学は
人体の精密で美しい構造を知り、
「生命の神秘と多様性」に触れる学問です。

基礎研究は
科学の本質に迫り、
未来を大きく変える可能性を探る
魅惑的な仕事です。

本講座では
幅広い分野で社会に還元できる研究を展開するとともに、
将来を担う若手基礎研究者の育成にも
力を入れて参ります。

解剖学講座 教授
内藤 宗和

講座の沿革

 1972年4月、愛知医科大学設置に伴い、名古屋市守山区の香流病院(現・医療法人香流会紘仁病院)内に解剖学第1講座の仮教室が設置され、同年11月に現在の研究棟がある長久手市の愛知医科大学に移った。初代教授には原淳が着任した。当初、原は市原一郎助教授とともに肉眼解剖実習用の遺体の確保に奔走し、電子顕微鏡室の整備に尽力したほか、基礎医学科長および副学長も兼任した。解剖学第2講座も同年に開設され、武藤浩が初代教授として着任した。この年に着任した早川正市講座技術員は、多数の透明なプラスチック肉眼解剖標本および組織標本を作成し、講義や実習の充実に貢献した。6年間一貫教育というカリキュラムの中で、いかにして医学生に解剖学を効率よく身につけさせるかを絶えず議論しつつ、1973年から講義を教員3名でスタートした。

 1974年には市原が教授に昇任し、解剖学第1講座は複数教授体制となった。1975年に西村敏一助手、川村秀登助手、加藤達男講座技術員が加わった。しかし、講座としてますますの充実に向かう途上であった1977年に原が急逝し、市原がその後を引き継いだ。以後1979年に木村勝、1980年に川井範夫が助教授として着任し、教育研究体制は更に整っていった。1982年に有村和人研究技術員、加藤の後任として1986年に後藤準治講座技術員が加わった。解剖学第2講座では1973年に達磨千美助手が着任、1974年に着任していた吉岡郁夫助教授が1986年に特任教授となった。1975年に尾関教生助手、大石みち子助手、1979年に山北久美子助手、1981年に本学卒業生の中野隆助手、1982年に長谷川香織講座技術員、1988年に岩間よしゑ助手が着任した。1989年に吉岡が愛知学院大学教授として転出し、早川の後任で戸松幹彦研究技術員が加わった。分子生物学の発展に伴い、医学研究が細分化され、かつ高度化し、解剖学に求められる教育、研究も変化していった。1990年には武藤が退任し、吉田行夫が後任教授で着任した。解剖学第2講座の助教授であった中野隆が市原の後任として1997年に解剖学第1講座に異動し、第3代教授となった。1998年に土生美樹子助教授が着任。そして、2002年に浅本憲が吉田の後任教授として着任した。

 解剖学の教育分野は、肉眼解剖学と組織学に大別され、現在も複数講座で分担して教えている大学が多い。本学の場合は教え方を模索し続け、その時代ごとにカリキュラムの改定を行ってきた。開設当初は二つの講座で解剖学全分野を担当していたが、隔年で肉眼解剖学と組織学を交互に担当する時期を経て、1997年に科目名を「組織学・臨床解剖学」に変更した。解剖学第1講座は、臨床医学的視点からみた生体構造、画像解剖、体表解剖および機能解剖を重視した解剖学教育、解剖学第2講座は形態と機能の関連や臨床の基礎となる形態学的知識を加えた肉眼解剖学の講義と実習を行うようになった。こうした経緯を踏まえて、2003年、解剖学第1講座と解剖学第2講座が統合され大講座となった。解剖学第1講座教授の中野と解剖学第2講座教授の浅本が2年ごとに交代で解剖学講座の主任教授を務めた。解剖学という形態学を教育・研究する上では、「機能と構造を常に考慮すること」が必要であり、さらに構造は「肉眼解剖から超微形態まで」を視野に入れた解釈が必要である。大講座として肉眼解剖学から超微形態学までを網羅するようになり、このような特徴をより発揮しやすくなった。全体と部分、静と動の両面から物事を考えられる学生を育てることは、「新時代の医学知識、技術を身につけた教養豊かな臨床医の養成」という本学の理念にもかなうものである。2003年に西由紀助手が、翌2004年に大石仁助教授が着任した。戸松の後任として、2006年に坂崎友香研究技術員が加わった。2004年には、バイオハザード対策およびホルマリン水溶液などの廃液適正処理のため、解剖処置室(102号室)の改修整備を行っている。また、2006年には解剖学実習室をホルムアルデヒドによるシックハウス症候群対策として、老朽化した設備の更新を行った。2007年に太田憲一助教が着任し、2009年に坂崎の後任として國田佳子助手、同年大道裕介助教が加わった。2010年に大道美香助教、2011年に齋藤敏行准教授と大迫洋治講師、2013年に矢倉富子助教、2014年に内藤宗和准教授が着任した。2015年、浅本が退任し、丸地佑樹助教が着任した。翌2016年には内藤宗和が教授に就任した。また、同年に平井宗一特任教授、畑山直之助教、安井正佐也助教が着任している。2017年には横田紘季助教、福重香助教、2019年に藤原敦史助教、2020年に大塚俊助教、名仁澤英里助教、丸山洋平助手が加わった。2021年に平井が日本大学医学部機能形態学系生体構造医学分野の教授として転出し、梅本佳納榮助教、単西瑶助教、竹内堂朗助教、石川拓郎助教が着任した。2022年3月に中野が退任し、同年に大久保友人特任助教、玉置優貴助教が着任した。2024年には後藤瑛一助教、髙橋亮助手が着任した。

 2024年4月1日現在の教職員は、内藤宗和(教授)、畑山直之(准教授)、福重香(講師)、大塚俊(講師)、名仁澤英里(助教)、梅本佳納榮(助教)、単西瑶(助教)、竹内堂朗(助教)、大久保友人(助教)、玉置優貴(助教)、後藤瑛一(助教)、有村和人(助手)、國田佳子(助手)、丸山洋平(助手)、髙橋亮(助手)の体制である。